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autolink N1/WE06-04 カード名:失われた過去プレシア カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 パワー:3500 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《病気》? 【永】他のあなたの《魔法》?のキャラすべてに、パワーを+1500。 【自】あなたのドローフェイズの始めに、あなたは自分の山札の上から1枚を、クロック置場に置いてよい。そうしないなら、このカードを思い出にする。 取り戻すの・・・・・・・・・ こんなはずじゃなかった、世界のすべてを・・・! レアリティ:R illust.瑞姫 《魔法》?に対する超強化カード。 なんと位置を選ばず《魔法》?に+1500。 同作品及びエクストラ元は作品上《魔法》?持ちが多く、純粋に+1500というだけでかなり強力。 2枚並べれば1レベル上のバニラが普通に倒せると考えればその強さはわかりやすいだろう。 このカード自体も《魔法》?持ちなので、相互強化していけば場に4枚出た時点でこのカード自体も8000というサイズになれる。 しかしながらその分のデメリットもかなり大きく、自ターンの最初に強制1ダメージを受けなければこのカード自体が思い出行きとなってしまう。 現状では思い出のこのカードを回収する手段はなく、思い出にしてしまうと再利用できないため 1ダメージを選ぶか思い出送りを選ぶかはなかなか悩ましい所。 自分のドローフェイズで即思い出に送った場合でも、配置した後の自分のアタックフェイズと相手のアタックフェイズの間は効果を使えるため、 使い捨てのイベントと同じ感覚で使ってもいいかもしれない。 使用する場合は極力デメリットの抑えられる早出しを狙うか、終盤で無理やり押し切れる状況を狙うか、 上手くタイミングを見計らう必要があるだろう。 また、スタンダード構成において記憶を持ったカードが増えてきたことによって、思い出に飛ぶことが必ずしも デメリットではなくなってきた面がある。 パワーを維持するために1ダメージを選択したり、記憶発動のため自発的に思い出に飛ばしたりと、状況しだいで 使い分けができると考えると再評価されてもいいかもしれない。《魔法》?と記憶を持ちチェンジで出す際に クロックデメリットを緩和できるくすぐったい毎日 音姫や、色は違えどパワーに不足を起こしやすく 《魔法》?と記憶を持つキャラの多いインデックス系統とは相性が非常に良い。 ・関連ページ 《魔法》?
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『わたしのおかあさん』 わたしのおかあさんはプレシア・テスタロッサといいます おかあさんは技術かいはつの会社につとめる技術者です おかあさんはかいはつチームのリーダーで なかよしのかいはつチームのみんなといっしょに 世界でくらすみんなのためになる技術をまいにち研究しています おかあさんはいつもしそがしいけど だけどすごくやさしいです 毎日つくってくれるごはんもいつもおいしいし 夜はいっしょのベッドで寝ます ことしの誕生日は2人でピクニックに出かけました いつもいそがしいおかあさんだけど こういうときは一日中いっしょにいられるのでうれしいです たのしくてうれしくて 「ママ大好き」って言うと おかあさんはいつもちょっと照れますが だけどいつもあとで『ぎゅっ』ってしてくれます そんな照れ屋でやさしいおかあさんのことが わたしはほんとうにだいすきです おわり フェイト「リニス」「おまたせ。何見てるの?」 魔法少女リリカルなのはMOVIE 1st THE COMICS Sequence 0-2「新暦63年第1世界/フェイト・テスタロッサ(I)」 遥か遠い日の記憶、幸せだった私―― リニス「面白い文書を見つけたんですが、これはあなたが書いたものでしょうかね、フェイト?」 フェイト「?」 リニス「これは作文か何か?」 フェイト「うん、たしかそんなかんじ。うわー懐かしいなぁー」 リニス「書いた時のこと覚えてます?」 フェイト「うん、でもやっぱり恥ずかしいな。昔のことだから」 リニス「恥ずかしくないですよ、なかなか名文です。大事にしまっておきましょうね」 フェイト「ありがとリニス」 リニス「さ、そろそろ勉強の時間です。準備はいいですか?」 フェイト「うん、バッチリ!」 リニス【わたしリニスは ここミッドチルダ南部の山あい アルトセイムに住むテスタロッサ家の住人 主な仕事は 家事全般とこの家の家長プレシア・テスタロッサのお世話 そしてなにより この子フェイト・テスタロッサのお世話と 学問や魔法に関する教育と指導 まあ要するにメイド兼家庭教師みたいなもの】 フェイト「できたよ」 リニス「はい、採点しましょうね。うん…全問正解。さすがですよ、フェイト」 フェイト「ほんと?ありがとう、リニス」 リニス「そういえば今日はずいぶん静かですが、アルフは?」 フェイト「さっきまで一緒に遊んでたけど、今日はお部屋でお昼寝中。 アルフもう元気いっぱいでね、走るの速いの!ぴゅーんって!」 リニス「あの子はもとが狼ですからね」 リニス【先日この子は 死にかけていた迷い狼を救うため 自らの魔力を分け与え使い魔とした 私は止めた幼いフェイトには負担の大きい使い魔契約とその維持のこと 命を預かるということの重さを伝えて それでもこの子は 私の反対を押し切って死にかけた狼を救った 群れから見放された孤独な迷い狼に 今の自分の姿を重ねたというのもあるだろう それでも 優しい子なのだ 一途でとても純粋で】 アルフ「フェイト、リニス――勉強お疲れ――ミルクとおやつもってきたよ――」 フェイト「アルフ!」 リニス「ああ、危ない。こぼれますよ!」「お昼寝してたんじゃなかったんですか?」 アルフ「もー起きた!」 フェイト「ありがとうね、アルフ」 アルフ「うん」 リニス「いいタイミングですし、休憩にしましょうか」 フェイト・アルフ「は――いっ」 アルフは幸せだ この小さな主人(マスター)がアルフと交わした契約は 普段の使い魔契約とはだいぶ異なる その内容は『生涯をともに過ごすこと』 フェイトはアルフが自分自身のために命を生きることを許し アルフは自分の意思でフェイトを慕い共に過ごしたいと願っている リニス「……あなたたちはいいコンビですよね」 アルフ「名コンビー♪」 フェイト「うん」 リニス【そう 私の教え子たちにはなんの問題もない】 リニス「今日の分の勉強が済んだら3人で外に出て運動しましょうね」 フェイト「は――い」「でもこのクッキー美味しいね」「ね、リニス。このクッキー母さんに持っていってあげたらダメかな」 リニス「……ああ……」 リニス【問題は この子の母親のほう】 リニス「――後で私が届けてきましょう。プレシアも研究が忙しいですから」 フェイト「うん……そうだよね。ごめんねリニス」 リニス「ああ、いえ……」「あなたは悪くありませんよ、フェイト。謝らなくていいんです」 フェイト「うん……」 リニス【教育熱心で厳しい母親であるのは良いけれど 愛娘をあえて遠ざけるようなその態度が近頃少し目に余る】 リニス「プレシア。お茶をお持ちしましたよ」 プレシア「入りなさい」 リニス「失礼します」 リニス【プレシア・テスタロッサ 私はこの人のことをほとんど何も知らない】 プレシア「そこに置いておいて」 リニス「はい、今日はクッキーがあるんですが」 プレシア「要らないわ」 リニス「まあ、そう言わずに。美味しいクッキーですからあなたにも食べて欲しいと、フェイトが」 プレシア「――余計な気は遣わなくていいって言っておいて。あの子にはもっと大事なことがあるはずよ」 リニス「娘が母親を思いやるのだってとっても大事なことですよ!」 プレシア「――そんなことより、勉強はちゃんと進んでいるの?」 リニス「勉強ですか?進んでますとも!」 「魔力トレーニングも魔導物理も魔法知識も!フェイトは本当に一生懸命やってますからね!」 「遊びたい盛りの甘えたい盛りの子供なのに」「本当に一生懸命に」「それがなんでだかわかりますか?」 「あなたがそれを! 「フェイトが一人前の魔導師になることを望んでいて、それを叶えたらあなたに褒めてもらえると思ってるから!」 「私はやっぱりおかしいと思うんですよ。広いお屋敷とはいえ、一緒に食事もとらない。 会うことだって3日に1回あるかどうか」 プレシア「あの子を一人前の魔導師に育てるためよ。親への甘えが……あったらいけないわ」 リニス「意図も理由もわかりますが、程度の話をしてるんです」「ついでに今日はこんなものも見つけましたよ。 あの子の昔の作文です」 「あなたがうんと優しいママだった頃の、読んでて気持ちがあったかくなる名文ですよ」 プレシア「……見せて頂戴」 リニス「はい、どうぞ」「その作文、見たことは?」 プレシア「――あるわ」 「初めて読んだ時はうれしくってね。涙が止まらかった。あの子はこんなにも、私を思ってくれてたんだなって」 リニス【親子なのだから愛しくないわけがない 愛しくないはずがない そう思うからこそ 私はこの人の思いを知りたい】 リニス「ねえ、プレシア。今日や明日とは言いませんから。何か節目の日にくらい、フェイトと一日一緒にいてあげてください」 「それくらいで甘えて勉強がおろそかになるほど、フェイトは弱い子ではないんですから」 プレシア「考えておくわ。もういいからさが下がって」 リニス「ダメです。約束してくれるまでここを動きません。なんなら研究の邪魔もして上げますよ?」 プレシア「――リニス!」 リニス「……冗談です」「でも本当にお願いしますよ、プレシア」 リニス【きっと不器用な私の契約者(マスター)とその愛娘の幸せの行き先が心配なのだ ごく普通の使い魔に過ぎない私でさえ 愛しいという気持ちがあるのだから】 To be Next Sequence 0-3「NC64 Midchilda/Fate Testarossa(II)」 母娘が笑いあえる日が来るのは……
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《心理分析》プレシア・テスタロッサ&ランサー◆q4eJ67HsvU アーカムの名を全土に知らしめるミスカトニック大学。 膨大な蔵書を有する大学図書館のイメージが強いこの学舎にも、近年は科学分野への追い風が吹いている。 最たるものは応用科学部の発展だろう。 20世紀初頭から存在するこの歴史ある学部は、最近目覚ましい成果を上げつつある。 特にエネルギー変換と伝達に関わる新技術の研究は応用性において従来の技術と一線を画しており、学内でも大きな話題を呼んでいた。 その研究を率いる教授もまた、理系学部の教職員や学生たちにとっては名の知れた存在であった。 「テスタロッサ教授!」 自身のゼミに通う女学生に呼び止められ、彼女――ミスカトニック大学応用化学部教授、プレシア・テスタロッサは無言で振り向いた。 白衣の似合う、美しい女性である。 歳は既に五十代であるはずなのにも関わらず、優に二十は若く見えるほどの美貌を保っている。 僅かにウェーブのかかった艶やかなグレーの髪、若い頃から特段の劣化も見せていない均衡の取れたスタイル。 初めて会う者が彼女の歳を言い当てることなど困難だろうし、男子学生の中には実年齢を知らないままに懸想する者も少なくない。 加えて、彼女は科学者としても極めて優秀であった。 彼女の打ち立てた理論はまるで別の世界の法則を元にしているかのように斬新で、前例のないものであった。 まるで魔術師のようだとある者達は賞賛し、大学図書館の稀少書に関わる一部の教授達はそれを聞いては顔をしかめていた。 とはいえ、彼女の才能を疑う者は、少なくともこのミスカトニック大学においてはほとんどいないと言っていいだろう。 にも関わらず、プレシア・テスタロッサ教授は有名人ではあっても人気者ではなかった。 険のある目つき。陰鬱な雰囲気。 何処か常に世界を呪っているような気配があり、それが人を遠ざけていた。 事実、今この時もプレシアは学生を一瞥すると、不快感を隠そうともせずに冷たく答えた。 「……何かしら? 私は今急ぎの用があるのだけど」 静かな、しかし威圧の意志の十分に籠もった声。 女学生が気圧され、それから再び口を開くに至るよりも早く、 「貴女も私のゼミの一員なら、くだらない質問で人の時間を奪うような真似は慎みなさい」 今度は完全な拒絶の言葉を吐き、その以上は一瞥すらくれずに歩き去る彼女の後ろ姿を眺めながら、女学生は深い溜息をついた。 一事が万事、あの調子なのである。 優秀な人なのは間違いないが、彼女は明らかに自分の意志で他人を遠ざけていた。 研究に関しては貪欲と言っていいほどの熱意を、それこそ執念じみた精神力を感じるのにも関わらず、 人間に対しては酷く淡白で、まるで人形か何かを見るかのような目で自分達を見るのだ。 ああいうところさえなければもっと学生達にも慕われるのに。 そう思いながら、少女は立ち去った。 ▼ ▼ ▼ ミスカトニック大学の研究棟の一角に、誰も寄り付かない研究室がある。 最新の設備が揃ったその部屋を誰も気に留めないということはあり得ないのだが、事実、その研究室を訪れる者はいない。 ただひとり、プレシア・テスタロッサを除いては。 加えて、この研究室に魔術的な結界が展開されているのに気付いているのも現状では彼女だけである。 他ならぬ彼女こそがその術を施した張本人なのだから、当然といえば当然だが。 簡易的な魔術工房と化した室内を睥睨し、プレシアは眉間に皺を寄せた。 大学教授などというのはこの架空都市アーカムで充てがわれた仮の姿に過ぎない。 彼女は条件付きSSランクに認定される大魔術師であり、現在は時空管理局に追われる犯罪者でもある。 しかし、数多の世界を移動する魔法技術を持つ彼らも、このアーカムにまで手出しは出来ないだろうとプレシアは踏んでいた。 この街は、特別なのだ。 何がどう他の世界と違うのか、今はまだはっきりと説明することは出来ないが。 そしてその特異性は、そのまま『聖杯戦争』が確かなものであることへの裏打ちともなる。 彼女が仮初の職でありながらも熱心に実験に打ち込んできたのは、ひとえにこの時代の技術を自分のものにするために他ならない。 しかし、これでは駄目だ。魔術と組み合わせることで何か画期的なものが作れるかと期待してみたが、空振りに終わった。 やはり万能の願望器でなければ、プレシア・テスタロッサの願いは叶わない。 (私の望みを叶えるためには、聖杯が必要なのよ……!) 幾多の機械が魔術的整合性を持って組み合わさるその中心に鎮座するカプセルに、プレシアはそっと手を触れた。 その中に満ちた液体に揺られているのは、一糸まとわぬ少女であった。 年頃は学校に通い始めたかどうかといったところである。 アリシア・テスタロッサ。 この少女こそプレシアの愛娘であり……傷ひとつ無い体でありながらどうしようもなく死んでいる、魂の抜け殻であった。 彼女を生きかえらせるため、プレシアはあらゆる手段を用い、あらゆる犠牲を払ってきた。己の肉体すら代償とした。 それでも、届かなかった。 彼女の代わりとして記憶を引き継がせたクローンも、結局は出来損ないの紛い物だった。 だからこそ、聖杯戦争に挑む。 そう胸に誓うプレシアの瞳は、娘に注がれる時だけ温かいものであった。 しかし、次に振り向いて言葉を発した時にはもう、プレシアは冷徹な魔術師へと戻っていた。 「――それで、ランサー。首尾は?」 「……ごめんなさい、マスター。まだ、他のマスターもサーヴァントも、見つけられなくて……」 「そう。随分と時間を無駄にするのがお上手な英霊様ね」 「…………っ」 プレシアの吐き捨てる皮肉にうつむくのは、実体化した彼女のサーヴァントであった。 クラスは槍兵(ランサー)。携えるのは身の丈を越える長鎌(グレイブ)。 しかしその姿は華奢な少女のそれである。 肩に届かないぐらいに切り揃えられた黒髪。十二歳頃と思しき年齢相応の体格。 体に密着したコスチュームは胸元の大きなリボンと紫色のプリーツスカートが目を引く可愛らしいものだが、不思議な神秘性を放っていた。 そして、幼さと達観が同居した、儚げな美貌。 深窓の美少女という表現がぴったりの彼女は、とてもそのクラスに相応しい戦士には見えない。 だが、彼女こそがひとつの世界で最強にして最悪と称された、死と再生の戦士なのだ。 「――破滅の化身『セーラーサターン』。確かに大した英霊だわ。ひとつの世界を単独で死に追いやることが出来るなんてね。 それで? ランサー、貴女はその力を私のアリシアのためには使ってくれないの? 私の願いは貴女にとってそんなに滑稽?」 「そんなこと……!」 「だったらどうして、すぐにでも敵を討ち果たしてくれないの? そう、私のことが嫌いなのね。悲しいわ、ランサー」 プレシアの悲嘆は感情の篭もらない白々しいものであったが、ランサーの少女――セーラーサターンは唇を噛み締めた。 サターンは沈黙の星「土星(サイクラノーシュ)」を守護に持つ、死と再生を司る滅びの戦士である。 単純な破壊力だけでいうならば太陽系セーラー10戦士の中で文句なしの最強。 しかし、だからといって聖杯戦争で最強であるとは限らない。 莫大な魔力による高い戦闘能力を持つ一方で、サターンは一切の探知系スキルや能力を有していない。 敵マスターやサーヴァントをこちらから捕捉して奇襲をかけるには、目視や大雑把な魔力探知に頼るしかないのだ。 加えてマスターであるプレシアから離れての単独行動。 更に一切敵の情報を持たない状態で、首尾よく戦果を挙げられるはずはない。 プレシアもそれは分かっている。 分かった上で、自身のサーヴァントを言葉で痛めつけているのだった。 「……私は、マスターの力になりたい。この気持ちに、嘘はありません」 「聖杯に懸ける願いはないと言っておきながら、信じられないわね。理由ぐらい言ってみなさい」 「……貴女のような人を知っているから。子を思う気持ちが強過ぎた人のことが分かるから。だって私の父も、私を思う一心で……」 同じように道を踏み外したなどと言えるはずもなかったが、それがセーラーサターンがプレシアに力を貸す理由であった。 サターン――土萠ほたるの父、土萠創一は実験中の事故で死に瀕したほたるを救うために、名状しがたき外宇宙の生命体に体を明け渡した。 タウ星系よりの来訪者に精神を乗っ取られた父は人類の敵となり、結果として多くの人間を傷つけた。 それでも父が自分をどれだけ大事にしてくれていたか知っているから――サターンは、我が子への愛ゆえに狂ったマスターを見捨てられない。 しかし、そんな想いが狂える母に伝わるはずもなく。 「私の理解者ぶって、随分と知ったふうな口を聞くのね……」 「違います! 私は本当に、マスターに幸せになってもらいたくて――」 「黙りなさい!」 プレシアの手中で瞬時に実体化した鞭がしなり、風を切る音を立ててランサーを打ち据えた。 短い悲鳴を上げて、その幼い体が冷たい床に転がる。 この程度の神秘でサーヴァントを傷つけられるはずもないが、ランサーは僅かに涙ぐんで主を見上げる。 その前髪を鷲掴みにして無理やり引き起こすと、プレシアは自らのサーヴァントに向けて憎しみすら籠もった視線を向けた。 「私にもう少し寛大さと言うものが足りなければ、令呪でとっくに自害させていたところだわ、ランサー。 英霊に祭り上げられた貴女と違って、私のアリシアは貴女の歳まですら生きることを許されなかったっていうのに……!」 「う、うぅ……」 「本当に不愉快だわ。英霊の映し身とはいえ、卑しい使い魔風情に同情されるなんて……。 でもいいわ、使ってあげる。貴女が心から私に尽くすというのなら、私の願いのためにその禁忌の力のすべてを捧げなさい。 そうすればもう少しは貴女のことを認めてあげてもいいわよ、破滅の使者セーラーサターン」 見るものがぞっとするような笑みを浮かべるプレシアを、しかしランサーは拒絶したりはしなかった。 同情ではない。憐憫でもない。ただ彼女の歪んでしまった愛を、もう一度本当の形に戻してあげたい。 たとえ形が変わってしまっていても、愛は愛。親が子を想う気持ちに、きっと嘘はないはずだから。 沈黙の星を守護に持つ死と破滅の死者、セーラーサターン。 この澱み切ったアーカムの街で、彼女は今一度、愛のために戦おうと決意した。 【クラス】 ランサー 【真名】 セーラーサターン@美少女戦士セーラームーンS 【パラメーター】 筋力C 耐久D 敏捷C 魔力EX 幸運E- 宝具A 【属性】 中立・善 【クラススキル】 対魔力:B 魔術に対する抵抗力。一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。 【保有スキル】 守護星:EX それぞれのセーラー戦士に固有の惑星によるバックアップ。 セーラーサターンは禁忌と破滅を司るとされる沈黙の星『土星(サイクラノーシュ)』を守護に持つ。 このスキルを保有する限り、マスターの適性に関係なく魔力のステータスは常にこのスキルのランクと同じになる。 EXランクの場合、実質的なパラメータはAランク相当だが、固有結界の中に限り上限を超えた魔力が行使できる。 献身:A 己の身を投げ打ってでも守るべきもののために戦う精神。 ランサーが自分以外の存在のために行動する時、その成功判定にプラスの修正が加わる。 病弱:C 天性の打たれ弱さ、虚弱体質。 保有者は稀にステータス低下のリスクを伴うようになるデメリットスキル。 サターンとしての彼女が病に苦しめられた逸話はないが、変身前の姿である土萠ほたるは病弱な少女であった。 破滅の化身:C 宇宙の死と再生を司る、滅びという禁忌の概念そのもの。 セーラーサターンの真名に辿り着いた者は正気度喪失の判定を行う。 名前だけを知るよりも、より深くその使命についての知識を得た場合のほうが判定失敗時に失われる正気度は大きい。 【宝具】 『沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:2~10 最大捕捉:1~10人 ランサーの身の丈を越える長さを持つグレイブ。鎌というよりも矛に近い形状を持つ。 魔力やエネルギーを吸収する能力を持ち、また逆に雷光状の魔力を放出することで遠距離攻撃も可能。 またランサーが持つ他の宝具の鍵にもなるなど、多彩な応用法を持つ宝具である。 必殺技は滅びの魔力で我が身もろとも相手を破壊する「沈黙の鎌・奇襲(サイレンス・グレイブ・サプライズ)」。 『不動城壁(サイレンス・ウォール)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 「沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)」を両手で掲げることで目の前に発現する、不可視の魔力城壁。 シンプルこの上ない防御宝具だが、ランサーの豊富な魔力により相手の宝具すら場合によっては受け止める堅牢さを誇る。 逆に言えば展開しただけでは認識出来ない以上、周囲へ与える正気度ダメージは漠然とした違和感程度に収まる。 なお、『城壁』という属性を内包するため、『対城宝具』には威力の大小に関係なく概念的に突破されてしまう。 『死世界変革(デス・リボーン・レボリューション)』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:??? 最大捕捉:???人 セーラーサターンの最終宝具。破滅と誕生の戦士としての宿命が宝具化したもの。 自身を中心とした広範囲の空間を『世界の破滅』で塗り潰す固有結界。 『破滅する世界』そのものがサターンの心象風景であるため、固有結界へと取り込むことがイコール攻撃へと直結する。 守護星である土星よりのバックアップによって結界内は莫大な負の魔力で満ちており、いかなるランクの対魔力スキルでも無効化は不可能である。 ただし、破滅とは全てに等しく降りかかるものであり、爆心地にいるランサー自身もまた無傷でいることは出来ない。 【weapon】 「沈黙の鎌」。 【人物背景】 沈黙の星・土星を守護に持つ、破滅と誕生を司るセーラー戦士。 その使命はセーラー戦士が守るべき幻の銀水晶の持ち主が死に瀕した時、世界そのものを破滅させて新生させることにある。 普段は少女らしいおしとやかな喋り方だが、サターンの使命を果たす時には凛々しい口調となる。 変身者の土萠ほたるは病弱でミステリアスな12歳の少女。 幼少期に事故に巻き込まれた際に外宇宙の存在「沈黙のメシア」に憑依され、その依代となる。 最終的にその体を乗っ取られるも、目覚めた彼女の精神力によって打ち勝ち、自身を取り戻す。 そしてセーラーサターンとして覚醒した彼女は敵の首魁であるエネルギー生命体の内部で力を開放し、刺し違えて命を落とした。 その後セーラームーンの力で赤子へ転生した彼女は父の元で育てられるが、新たな危機に際して8歳の姿に急成長、再覚醒することとなる。 なお聖杯戦争では英霊は全盛期の肉体で召喚されるため、初覚醒時の12歳の姿となっている。 ちなみに、セーラー戦士最強と称されるその能力ゆえか出番は極端に少ない。 アニメで12歳のほたるが登場するのは14話に過ぎず、変身後の姿はワンシーンのみ。まともな戦闘は転生後の一回だけである。 【サーヴァントの願い】 自分自身は使命に殉ずるだけで、願いはない。 しかしプレシアの狂気に至った理由が理解できてしまうため、たとえ虐げられても力を貸すつもりである。 【マスター】 プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは THE MOVIE 1ST 【マスターとしての願い】 愛娘アリシアを生き返らせ、こんなはずではなかった世界をやり直す。 【weapon】 「ミッドチルダ式ストレージデバイス」 あらかじめ魔術のプログラムを記憶させることで発動の補助を行う装置。 リリカルなのはシリーズにおける魔法の杖にあたる存在であり、プレシアのものは一般的な杖の形をしている。 あくまで発動の補助のためのものであり、これがなければ魔術が使えないというわけではない。 【能力・技能】 条件付きSSランクと評価される優秀な魔術師。 魔力の保有量が他の魔術師よりも特別勝っているというわけではなく、外部由来の膨大な魔力を運用することに長けた魔術師である。 娘のクローンであるフェイトと同系統の雷撃系呪文を主に使うが、威力は群を抜いており、空間を跳躍させて攻撃することすら可能。 また、工房による魔力のバックアップがあれば複数の傀儡兵を同時召喚して使役することなどもできる。 しかし体は病に蝕まれており、負担の掛かる大魔術は命を縮めることとなる(強力な魔術師でありながらデバイスに頼る理由でもある)。 また精神を病んでおり、初期段階でEランク相当の精神汚染スキルを所持している。 【人物背景】 「魔法少女リリカルなのは」第一期の黒幕。 フェイト・テスタロッサの(遺伝上の)母親であり、創造主。彼女に命じてジュエルシードを集めさせていた。 彼女自身も卓越した魔術の才能を持ち、劇中で次元跳躍攻撃を敢行した唯一の魔術師である。 かつては優秀な技術者であったが、実験中の事故で愛娘アリシアを失い、蘇らせようと万策尽くすが失敗。 娘の記憶を引き継がせたはずのクローン・フェイトも代わりにはならないと知り、精神に異常を来たす。 以降はフェイトの自身への愛情を利用して道具として使う一方、失われた魔法技術が眠るとされる忘却の都「アルハザード」を目指していた。 終盤で魔法管理局に本拠地へ踏み込まれるも魔術師達を一掃、アルハザードへの転移を試みるも追い詰められ――ロストロギア「銀の鍵」を使用する。 なお、劇場版ではTV本編で語られなかった多くの設定が映像化されており、プレシアはある意味で影の主役と言っていい立ち位置になっている。 【方針】 あらゆる手段を使ってでも勝利する。 ランサーの能力は評価してはいるが不愉快にも思っており、道具として使い潰すつもりでいる。 BACK NEXT Lancer01 《天才》クリム・ニック&ランサー 投下順 Lancer03 《心理学》神崎蘭子&ランサー Lancer01 《天才》クリム・ニック&ランサー 時系列順 Lancer03 《心理学》神崎蘭子&ランサー BACK 登場キャラ NEXT プレシア・テスタロッサ&ランサー(セーラーサターン) OP 運命の呼び声~Call of Fate~
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[りにす] 登場作品:セブン・アークス「魔法少女リリカルなのは」 ◎ やらない夫は迷宮探索をするようです(完) ←リゼ・ヘルエスタ リに戻る 竜宮レナ→
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主催者キャラ追跡表 【プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】12 No. タイトル 作者 登場人物 時間 000 それは最悪の始まりなの ◆UOleKa/vQo 高町なのは(A s)、クロノ・ハラオウン、プレシア・テスタロッサ、アリサ・バニングス オープニング 外伝 パンドラの箱、もしくは始まりの唄 ◆jiPkKgmerY プレシア・テスタロッサ 本編話066話パンドラの箱は王の手に以降 068 第一回放送 ◆RsQVcxRr96 プレシア・テスタロッサ、リニス、アリサ・バニングス 第一回放送 097 Reconquista(前編)Reconquista(中編)Reconquista(後編) ◆HlLdWe.oBM ブレンヒルト・シルト、チンク、天上院明日香、ユーノ・スクライア、ルーテシア・アルピーノ、キース・レッド 1日目朝 113 Burning Dark(前編)Burning Dark(後編) ◆9L.gxDzakI チンク、アレクサンド・アンデルセン、アンジール・ヒューレー、ルーテシア・アルピーノ 1日目午前 123 第二回放送 ◆9L.gxDzakI プレシア・テスタロッサ、リニス 第二回放送 153 13人の超新星(1)13人の超新星(2)13人の超新星(3)13人の超新星(4)13人の超新星(5)13人の超新星(6)13人の超新星(7) ◆WslPJpzlnU 柊かがみ、新庄・運切、エネル、キース・レッド、アレックス、相川始、金居、ヴィータ、キング、ヴィヴィオ、高町なのは(StS)、天道総司、アーカード、柊つかさ、万丈目準、浅倉威、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 157 D.C. ~ダ・カーポ~ SURVIVED.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わるD.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 浅倉威、柊かがみ、相川始、キング、金居、ヴィータ、キース・レッド、アレックス、L、高町なのは(StS)、天道総司、ヴィヴィオ、エネル、新庄・運切、アーカード、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 163 第三回放送 ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、オットー、リインフォース、アルフ 第三回放送 165 Round ZERO ~KING SILENT ◆HlLdWe.oBM ヴィータ、アーカード、八神はやて(StS)、金居、アレックス、プレシア・テスタロッサ、リニス 1日目夜 180 Ooze Garden(軟泥の庭) ◆WwbWwZAI1c 金居、プレシア・テスタロッサ 1日目真夜中 181 第四回放送/あるいは終焉の幕開け(前編)第四回放送/あるいは終焉の幕開け(後編) ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、リインフォース、アルフ、オットー、ドゥーエ 第四回放送前後 【リニス@魔法少女リリカルなのは】10 No. タイトル 作者 登場人物 時間 068 第一回放送 ◆RsQVcxRr96 プレシア・テスタロッサ、リニス、アリサ・バニングス 第一回放送 113 Burning Dark(前編)Burning Dark(後編) ◆9L.gxDzakI チンク、アレクサンド・アンデルセン、アンジール・ヒューレー、ルーテシア・アルピーノ 1日目午前 123 第二回放送 ◆9L.gxDzakI プレシア・テスタロッサ、リニス 第二回放送 148 光なき場所で ――月蝕・終章一節最後の鐘が鳴り止むまで ――月蝕・終章二節君の名を叫んでいた ――月蝕・終章終節楽斗 ――そして終わりなき斗いの歌 ◆Vj6e1anjAc 八神はやて(StS)、ヴィータ、金居、アーカード、セフィロス、リニス 1日目夕方 153 13人の超新星(1)13人の超新星(2)13人の超新星(3)13人の超新星(4)13人の超新星(5)13人の超新星(6)13人の超新星(7) ◆WslPJpzlnU 柊かがみ、新庄・運切、エネル、キース・レッド、アレックス、相川始、金居、ヴィータ、キング、ヴィヴィオ、高町なのは(StS)、天道総司、アーカード、柊つかさ、万丈目準、浅倉威、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 157 D.C. ~ダ・カーポ~ SURVIVED.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わるD.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 浅倉威、柊かがみ、相川始、キング、金居、ヴィータ、キース・レッド、アレックス、L、高町なのは(StS)、天道総司、ヴィヴィオ、エネル、新庄・運切、アーカード、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 163 第三回放送 ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、オットー、リインフォース、アルフ 第三回放送 165 Round ZERO ~KING SILENT ◆HlLdWe.oBM ヴィータ、アーカード、八神はやて(StS)、金居、アレックス、プレシア・テスタロッサ、リニス 1日目夜 外伝 暗躍のR/全て遠き理想郷 ◆Vj6e1anjAc リインフォース、アルフ、リニス、ウーノ 本編話166話わがまま以降 181 第四回放送/あるいは終焉の幕開け(前編)第四回放送/あるいは終焉の幕開け(後編) ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、リインフォース、アルフ、オットー、ドゥーエ 第四回放送前後 【ウーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】5 157 D.C. ~ダ・カーポ~ SURVIVED.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わるD.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 浅倉威、柊かがみ、相川始、キング、金居、ヴィータ、キース・レッド、アレックス、L、高町なのは(StS)、天道総司、ヴィヴィオ、エネル、新庄・運切、アーカード、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 1日目夕方 外伝 暗躍のR/全て遠き理想郷 ◆Vj6e1anjAc リインフォース、アルフ、リニス、ウーノ 本編話166話わがまま以降 181 第四回放送/あるいは終焉の幕開け(前編)第四回放送/あるいは終焉の幕開け(後編) ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、リインフォース、アルフ、オットー、ドゥーエ 第四回放送前後 197 Round ZERO~AMBITION SECRET(前編)Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、スバル・ナカジマ、天道総司、キング、金居、ウーノ、ドゥーエ、オットー 2日目早朝 199 魔法少女、これからも。(前編)魔法少女、これからも。(中編)魔法少女、これからも。(後編) ◆Vj6e1anjAc 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、ウーノ、ドゥーエ、セッテ、オットー、ディード 2日目朝 【オットー@魔法少女リリカルなのはStrikerS】5 163 第三回放送 ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、オットー、リインフォース、アルフ 第三回放送 181 第四回放送/あるいは終焉の幕開け(前編)第四回放送/あるいは終焉の幕開け(後編) ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、リインフォース、アルフ、オットー、ドゥーエ 第四回放送前後 外伝 せやけど、それはただの夢や ◆HlLdWe.oBM リインフォース、アルフ、オットー、ドゥーエ 本編話186話Pain to Pain(前編)Pain to Pain(後編)以降 197 Round ZERO~AMBITION SECRET(前編)Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、スバル・ナカジマ、天道総司、キング、金居、ウーノ、ドゥーエ、オットー 2日目早朝 199 魔法少女、これからも。(前編)魔法少女、これからも。(中編)魔法少女、これからも。(後編) ◆Vj6e1anjAc 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、ウーノ、ドゥーエ、セッテ、オットー、ディード 2日目朝 【ドゥーエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】4 181 第四回放送/あるいは終焉の幕開け(前編)第四回放送/あるいは終焉の幕開け(後編) ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、リインフォース、アルフ、オットー、ドゥーエ 第四回放送前後 外伝 せやけど、それはただの夢や ◆HlLdWe.oBM リインフォース、アルフ、オットー、ドゥーエ 本編話186話Pain to Pain(前編)Pain to Pain(後編)以降 197 Round ZERO~AMBITION SECRET(前編)Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、スバル・ナカジマ、天道総司、キング、金居、ウーノ、ドゥーエ、オットー 2日目早朝 199 魔法少女、これからも。(前編)魔法少女、これからも。(中編)魔法少女、これからも。(後編) ◆Vj6e1anjAc 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、ウーノ、ドゥーエ、セッテ、オットー、ディード 2日目朝 【ジェイル・スカリエッティ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】1 200 Beautiful Amulet(前編)Beautiful Amulet(中編)Beautiful Amulet(後編) ◆gFOqjEuBs6 高町ヴィヴィオ、ジェイル・スカリエッティ、トーレ、ノーヴェ、セイン、ウェンディ 生還後 【トーレ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】1 200 Beautiful Amulet(前編)Beautiful Amulet(中編)Beautiful Amulet(後編) ◆gFOqjEuBs6 高町ヴィヴィオ、ジェイル・スカリエッティ、トーレ、ノーヴェ、セイン、ウェンディ 生還後 【ノーヴェ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】1 200 Beautiful Amulet(前編)Beautiful Amulet(中編)Beautiful Amulet(後編) ◆gFOqjEuBs6 高町ヴィヴィオ、ジェイル・スカリエッティ、トーレ、ノーヴェ、セイン、ウェンディ 生還後 【セイン@魔法少女リリカルなのはStrikerS】1 200 Beautiful Amulet(前編)Beautiful Amulet(中編)Beautiful Amulet(後編) ◆gFOqjEuBs6 高町ヴィヴィオ、ジェイル・スカリエッティ、トーレ、ノーヴェ、セイン、ウェンディ 生還後 【ウェンディ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】1 200 Beautiful Amulet(前編)Beautiful Amulet(中編)Beautiful Amulet(後編) ◆gFOqjEuBs6 高町ヴィヴィオ、ジェイル・スカリエッティ、トーレ、ノーヴェ、セイン、ウェンディ 生還後
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リニス【私がフェイトと初めて会ってから もうじき一年が経過する フェイトの成長の記録と同時に 私にとって大切な日々の記憶と願いをせめて残せるように いつからか私は日記をつけるようになった】 己が身に降りかかる“運命”の過酷さを少女はまだ知らない 魔法少女リリカルなのはMOVIE 1st THE COMICS Sequence 0-3「新暦64年第1世界ミッドチルダ/フェイト・テスタロッサ(II)」 リニス【勉強と修練を重ねてフェイトはますます強く賢くなっている アルフもずいぶん大きくなって もう私より背が高い 魔法は二人とも基礎から総合まで一通り 護身のための戦闘法を覚えた後は 空を駆け回る飛行訓練 フェイトは高高度飛翔のメニューまでをわずか2か月でこなしきり 天性の速度を生かした空戦機動の練習に今は一生懸命 もとが陸生の狼であるアルフにとって「飛行」は出来ても「空戦」は難しいようで 空ではもうフェイトについていくことにはあきらめました 中後衛(ウイングバック)としてのサポートを行えるようトレーニングを積んでいる 青空を飛び回るフェイトはほかのどの魔法を練習している時よりも楽しそうで 少し心が安らぐ 私が今フェイトに合わせた専用のデバイスを用意している……という話をしたら 目を輝かせて喜んでいた プレシアは相変わらず研究一筋 近頃咳き込むことが多くそのことも心配なのだが 相変わらず私の言うことは聞いてはくれない 近いうちなんとかして医師を呼んで診察してもらおうと思う】 フェイト「あれ、リニス」 リニス「フェイト、これからお風呂ですか?」 フェイト「うん」 リニス「アルフは?」 フェイト「もう少し一人で練習したいから先に入っててって」 リニス「ちょうど私もお仕事が一段落ついたところです」「一緒に入りましょうか」 「またお風呂で転ばれたりすると大変ですから」 フェイト「え――ッ!リニス、あれは違うの!」 フェイト「だからあの時は頭を洗ってて」 リニス「はい」 フェイト「そしたらお湯を入れた桶が見あたらなくなっちゃって」 リニス「で、湯船のほうに行こうとして」「おもいっきり転んで湯船に転落」「そのまま溺れかけたと」 フェイト「笑いごとじゃないんだよ。ほんとにびっくりしたんだから」 リニス「びっくりしたのはこっちです」「光の速さで来てみれば、フェイトは裸で泣いてるし、 アルフは服ごとずぶぬれだし」 「本当に一体何ごとかと」 フェイト「うう」 リニス「その話をした時にはね。さすがのプレシアも少し笑ってましたよ」 フェイト「……ほんと?」 リニス「それから心配してました」 プレシア「昔もね」「あの子お風呂ではしゃいで転んだの」「気をつけるように言って、ケガでもしたら大変だから」 リニス「だそうです」「ないしょですよー」 フェイト「うん……うん!気をつける!もう転ばない!」「でも母さんが笑ってくれるんならもっと転ぼうかな」 リニス「やめてください。私の寿命が縮みます」 フェイト「冗談だよー」 リニス「ならいいですが」 リニス【この子は 私が触れる時 私に抱き上げられる時 ほんの少しほんのわずかだけ 遠慮するように身を固くする それはこの年頃の子どもが本来なら当たり前のように 溢れるほど与えられてるはずの愛情が足りないせいなのか 私がこの子の母親ではなく 母の使い魔という距離があるからだろうか いずれにせよ 私はフェイトとずっと一緒にはいられない そのこと自体はフェイトにもアルフにももうずっと前から告げてある だからこそ 残してあげたのだ あの子が道を切り拓くための力を アルフ「あれ、フェイト何書いてるの?」 フェイト「ん――?」「リニスがねもうすぐ津誕生日なんだ」 アルフ「そーなの?」 フェイト「これはプレゼントに添える手紙」「見ちゃだめだよー」 アルフ「そーかー」「みないよー」「いいねー、あたしも何か考えよう。フェイトは何をあげるの?」 フェイト「えへへ、じつはまだ考え中」 アルフ「そーかー」「リニス、猫だし猫おもちゃとかどお?」「この辺の犬おもちゃはフェイトにもらってうれしかった!」 フェイト「うーん、リニスは猫形態(猫フォーム)にはならないからねえ」 リニス「やっぱりちょっと無骨な形態になってしまったけど――」「機体(フレーム)の黒はフェイトが好きな色だし」 「クリスタルの金色はフェイトの魔力色」「あの子の力になってあげて」 「私がフェイトに教えるいくつかの魔法は、あなたなしでな成し得ない」 「あの子が振るう剣として、あの子を支える杖として」「強い機体(こ)になってね」「バルディッシュ」 バルディッシュ「Yes master.」 プレシア・テスタロッサの使い魔リニス 彼女が消滅の時を迎えるのは誕生の日から数えておよそ1年と7か月 彼女が主プレシアと教え子フェイト・アルフについて 余すことなく書き綴ったその日記は 後にアルトセイムの森にひそやかに保存され 本事件における重要な証拠として発見されることとなる Sequence0-4「NC65/COUNT DOWN」 誰かに深く愛されていたという、たしかなカタチ
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《大魔導師“プレシア・テスタロッサ”》 魔法使い/女 ●2/1 攻撃力 2/耐久力 2 イラストレーター:十野弥生 -能力なし すべては順風満帆だった。 愛娘と二人で、素朴な幸せを噛み締めながら生きてゆくはずだった……。 ・考察etc ここに記入する予定です。
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D.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 不死鳥の群れが天を舞う中、エネルはただ目の前に転がる物体に視線を向けていた。 既に鉄犬の姿はない。 少し視線を移動させると近くにその成れの果てである残骸が異臭を放って広がっている様子が映る。 戦うべき相手ジェノサイダー・Aがいなくなって雷治金を解除したから当然だ。 エネルはもう一度目の前に転がる物体に視線を向けた。 それは首輪の爆発によって首と胴体が分かれた浅倉威の死体だった。 エネルは首輪の爆破で死亡した浅倉威の死体を見ながらなぜこうなったのか考えていた。 だがいくら考えても答えは一つしか浮かばなかった。 あれだけの戦闘をしても起爆する事がなかった首輪が大技の発動中にいとも簡単に不自然な爆発をしたのだ。 少し考えれば答えに辿り着く事は道理だ。 しかしエネルは浅倉の死因などに興味はなかった。 最初から興味があるのは浅倉が所持していた珍獣を御するカードデッキ。 そして今浅倉の周囲にはエネル一人しかおらず、カードデッキも主の傍に転がっている。 エネルは何の気兼ねもなく浅倉の死体に近づき、傍に落ちているカードデッキに手をのばして――。 『待ちなさい。カードデッキを奪う事は許さないわ』 「……プレシアか」 ――恐れ多くも神に枷を嵌めた愚か者の声がエネルの行動を妨げた。 だがそれで『はいそうですか』とエネルが引き下がるわけなかった。 「神に指図するとは良い度胸だな」 『そこの愚か者と同じ目に遭いたくなければ私の言う事に従うべきよ』 「…………」 本来エネルはこのような脅しに屈するような者ではない。 だが自分の命を握られている事実、そして少し前出会ったヴァッシュの存在。 その二つがエネルの手を引き戻させた。 神が他人の願いをそう易々と聞く事はまずあり得ない。 だからこれは屈辱以外の何物でもなかった。 『もちろんただとは言わないわ。ヴァッシュ・ザ・スタンピードについての情報で手を打たない?』 本来なら神が他人の願いをそう易々と聞く事はまずあり得ない。 だが例外もある。 その存在を称え、崇め、奉られて、生贄や作物を供えられた場合だ。 そしてその情報はエネルにとって供物となるのに十分であった。 【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎 死亡確認】 ▼ ▼ ▼ 「ああ、承知した。ここに置いておけばいいんだな」 プレシアからの申し出を聞いた時、金居は好機だと思った。 すでに不死鳥の群れがミラーワールドに連れて来られた参加者を元の会場に戻すべく奔走している。 そんな中で金居だけが不死鳥に避けられている事に疑問を抱いたが、それも首輪から発せられるプレシアからの要求で納得した。 たしかに今回のようなカードデッキの使用法はなかなか有効だ。 だが主催者に目を付けられてまで実行しようとは金居は考えなかった。 『随分と素直なのね。もう一人は最初渋っていたんだけど』 「その口振りだと最終的には納得したのだろう。それに代価として情報をくれるとか。俺にはそちらの方が魅力的だ」 『あなたのような存在は私としても助かるわ』 「俺はこのデスゲームで優勝したいと思っている、それがあんたの思惑だとしても構わないさ。 むしろ利害が一致すればもっと積極的に協力してもいいぐらいだ」 金居の最終目的はプレシアの殺害。 そのための大前提が殺し合いを円滑に進めるスタンスを見せてプレシアの信用を得る事だ。 それが思いもかけないところで叶うのだ。 金居に異論はなかった。 『殊勝な心がけね。いいでしょう、検討しておいてあげる。まず当面はデスゲームを円滑に進める事を期待するわ』 「了解した」 『それで代価の情報だけど、やっぱりジョーカーかキングのものでいいかしら?』 「いや、敢えて希望が通るならゼロの正体だけ教えてくれるだけで構わない。名簿に載っていない名前だが、あれはあんた達の側の人物なのか?」 いまさら手の内を知っているジョーカーやキングの情報を聞く事にあまり意味はない。 それよりもここは再戦に備えて正体不明のゼロについての情報を手に入れたかった。 だが一応ゼロの正体に目星は付いているが。 『そんな事でいいの。あれの正体はキング、仮面と衣装で正体を誤魔化しているのよ。聡明なあなたならもうとっくにカラクリにも気づいたでしょう』 「そうか、念動力と時間操作か」 『時間操作? ああ、元の世界だとそんな事も出来たのだったわね』 「ん? ほう、なるほど。つまりはそういう事か。貴重な情報感謝します」 『さて何の事かしら』 これは故意か偶然か思いもかけない収穫だった。 ゼロの正体がキングと断定しただけでなく、今のキングは時間操作ができないという事実も判明した。 まだプレシアの嘘という可能性もあるが、自ら協力すると申し出た参加者の不快を買うような行動はしないはず。 つまりプレシアの発言は真実である可能性が極めて高いと判断できた。 (……良い流れだな) プレシアに感謝しながら金居はほくそ笑んでいた。 ▼ ▼ ▼ 「おかえりなさい、リニス。カードデッキは?」 「はい、ここに」 「そこのテーブルの上に置きなさい」 リニスは返事をしながら主であるプレシアの言う通り3つのカードデッキを脇のテーブルに一つずつ置いていった。 アーカードとの戦闘の途中でプレシアから命令を受けて回収してきた王蛇・ブランク(元ベルデ)、タイガの複製。 プレシアとエネル・金居との交渉は一応順調にいったのでリニスはただ拾ってくるだけで良かった。 3つ全てを置き終わったのを確認すると、プレシアは思いがけない言葉を発した。 「確かに。ご苦労様」 「え?」 リニスは我が耳を疑った。 あのプレシアが使い魔である自分に労いの言葉を掛けたのだ。 少し前は汚い死体扱いも同然だったのに明らかにおかしい。 「それとさっきは少し言いすぎたわ。こんな主だけど、これからもよろしくね」 「え、あ、はい」 そんな言葉を掛けられても素直に喜べず、申し訳ないが正直気味が悪かった。 だが第二回放送の頃は普通に接していた記憶がある。 それを考えるとやはり先程は気が立っていたのかと思えてくる。 「あの、プレシア。カードデッキを回収して良かったのですか? それと浅倉威をこちらで始末したりして……」 「背に腹は代えられないわ。デスゲームを円滑に進めるためにはこれしかなかったのよ」 「そう、ですか」 そう説明するプレシアの顔はどこか憂鬱気だった。 エネルに対しては『ヴァッシュには「参加者の現在地と生死を把握する能力」という能力はない』『エンジェルアームは過度に連発すると身体が持たない』の2つ。 金居に対しては『ゼロの正体はキングである』『キングはここでは時間操作は行えない』の2つ。 それぞれ2つの情報を与える事でカードデッキは回収しなければならなかった。 やはり苦渋の選択だったのだろう。 浅倉の祭りに巻き込まれた参加者は全員ゴルトフェニックスで元の会場に戻して、各自のデイパックもそれぞれの持ち主の元へ転移魔法で戻されている。 ただし柊かがみには元々彼女が所持していたものが宛がわれた。 参加者に対してこの方法が取られなかったのは動いている物体だと一度に転移できないために手間が掛かるからだ。 「本来なら首輪を外す参加者が出た時点で手を出すのが最初だと思っていたのにちょっと予定外だったわ」 「それで、これからどうなさるんですか?」 「計画に変更はないわ。今回のような直接制裁も数人までならなんとかできるわ」 「…………」 やはり中止はないのだと改めて思い知らされた。 半ば予想していた答えだけにリニスの表情を微かに曇るだけだった。 だがそんな機微に気付いていないのかプレシアは次の報告を促した。 「ところであの偽者達は何人生き残ったのかしら?」 「まだ詳しくは分かりません。あなたの命令で魔法構築の礎になった者がかなりいましたから……」 ここで言う偽者とは量産型フェイトの事だ。 実際今回死亡した量産型フェイトはかなりの数に上り、その内アーカードとの戦闘で死亡した数は約30にも上った。 やはり慣れないカードデッキでの戦闘で経験の無さを突かれた事が死因の一つだ。 だが残りの死者はプレシアの命令によるものだ。 プレシアは浅倉の首輪を爆破すると同時に量産型フェイトにある命令を下していた。 一つはゴルトフェニックスを使って参加者を強引に拉致して可能な限り元いた場所に送還させる事。 もう一つはミラーワールドと会場との自由な出入りを封じるための魔法を行使するために魔力の礎となれというもの。 それはもちろん万が一にも再びこのような馬鹿げた事態を起こさせないためだ。 元々この魔法はその特殊性ゆえに大規模な魔力を必要とするために軽々しく使えるものではなかった。 だがそれをプレシアは量産型フェイトに魔力を限界まで放出させて補った。 当然そんな無茶をした者が無事でいるはずがなく過剰な魔力の放出に耐えられずに大多数の量産型フェイトは最期には塵となった。 それをリニスはモニター越しに黙って見ているしかなかった。 それでも奇跡的に生き残った者もいたが、10には至らない事は確認していた。 「納得いかない、みたいな様子ね」 「いえ、私は……」 「……生き残った偽者への対応はあなたに任せるわ。ただしまた用があるかもしれないから戦闘の教育はしっかりしておきなさい」 「はい、分かりました」 曲りなりとはいえ量産型フェイトがむざむざ死んでいく事はやるせない。 今の自分に出来る限りの事はするつもりだ。 それが例えあの量産型フェイト達を死地に追いやる事だとしてもだ。 そこから生きて帰ってくる可能性は少しでも高めたかった。 「そういえばここに転移してきた時にセフィロスに何かあったと言っていたけど、詳しく聞かせなさい」 「はい、実は――」 それを最後にリニスは退室する事になった。 (やはりおかしい……) 部屋を出るなりリニスが思った事がそれだった。 リニスはプレシアの命で出撃するまでは散々な言われようだった。 それが帰還してみれば掌を返したような態度だ。 疑問に思って当然だ。 今までの経緯から考えて改心したとは思えない。 だがそれまでは普通に接してきた事もまた事実だ。 それに何より――。 (――精神リンクは切断されたまま。プレシア、あなたは何を考えているのです) 主の想いを窺う事も許されない身ゆえにリニスの表情が晴れる事はない。 (しかし逆にこれは良い機会かもしれません。この間に参加者の行動を再度調べ直して信頼できる者を一人でも多く探しましょう。 私が密かに放った希望を託すに相応しい者を……) そしてリニスは自分に宛がわれた部屋へと戻っていった――自分が為すべき事を為すために。 【1日目 夕方】 【現在地 ???】 【リニス@魔法少女リリカルなのは】 【状態】健康、困惑 【装備】複製バルディッシュ(待機状態)@オリジナル 【道具】? 【思考】 基本:使い魔として創造主であるプレシアに従う。 1.プレシアの命令に従いバトルロワイアルを円滑に進める。 2.プレシアにバトルロワイアルを中止して欲しい。 【備考】 ※バトロワ会場の世界、主催のいる空間、ミラーワールドを行き来する空間転移魔法が使えます。 ▼ ▼ ▼ (我ながら寒い芝居。まあ、それもこれも、余興に過ぎないわ) リニスの想像通り、プレシアの態度は善意からのものではない。 寧ろ悪意から来るものだ。 実はプレシアは前々からリニスがデスゲームを快く思っていない事は知っていた。 それでも傍に置いているのは直接自分を裏切るような行動を取れないような契約を結んでいるからだ。 ただこの契約内容で禁じているのは直接的な行動なので間接的なものに対する拘束は弱かった。 だから支給品にこちらが不利になるような物を混ぜる事が可能だった――ただしそれでも数個が限界だったようだが。 (でも甘いのよ。やるならもっと上手く誤魔化さないとダメね) リニスが望みを託した支給品が何かはすぐに分かった。 だが敢えてそこで排除する事はしないで、その支給品にはあらかじめ仕掛けを施しておいた。 例えば自律行動を取るものには参加者と同じように制限が適用されて、違反行為を取れば作動する首輪を付けておいた。 なぜわざわざそのような手間を掛けたのか。 それはリニスの反応を楽しみためだ。 あの反抗的なところがある使い魔に余計な事をしたらどうなるか知らしめるには実に効果的な方法だ。 今から自分が託した物が実はプレシアの手の中で踊っていたと知ったリニスの顔を見るのが楽しみだ。 (この問題はこれでいいとして他にもいくつか気になる点はあるわね) まずはセフィロスの件。 しかしこれは然程心配する事ではない。 プレシアは参加者を集める際に一応一通りの背後関係を調べていた。 当然ながらセフィロスに目を付けていたカオスなる存在についての知識も少々ならあった。 その知識と【案ずることはない。貴様達の戯れを邪魔するつもりはない】という去り際のセリフからして今後カオスがデスゲームに関わる可能性はゼロに等しい。 プレシアの知る限りこのデスゲームに関わっている人物でカオスと多少なりとも関係があるのはセフィロスだけのはず。 それゆえにこの件については深く考えなくていい。 次に天上院明日香が所持するジュエルシードと夜天の書。 この時までプレシアはミラーワールドに掛かりきりで天上院明日香と八神はやての戦闘に気付いていなかった。 二人の戦闘、及びジュエルシードと夜天の書の相乗効果の進行具合に気付いたのはついさっきだ。 しかし気づくのが遅れたからと言って別に慌てる事はなかった。 改めて調べてみればジュエルシードが夜天の書に及ぼしている影響は十分想定範囲内。 寧ろ現在の使用者である天上院明日香に元々魔力資質がないために予想の値よりかなり低い。 一応事前に保険としてジュエルシードにはある一定値以上の力は発揮できないように細工はしておいた。 そのため仮にジュエルシード付きの夜天の書が本来の持ち主である八神はやてに渡っても大規模な次元災害が起きる程の威力は出ない。 これに関してはデスゲームを開く際の懸念の最重要事項の一つだったので特に念入りに検査したので100%保障出来る。 だが不測の事態という事もある。 金居が新たな協力者として名乗りを上げてくれたが、どこまで信用していいのか甚だ疑問だ。 これも新たな懸念材料になり得る。 「やはり奥の手は用意しておくものね……そっちの調整はどこまで進んでいるのかしら?」 いつのまにか正面の空間モニターに映す出された人物に対してプレシアが問いかけていた。 その人物は紫のロングヘアを靡かせた如何にも事務系の仕事に向いているという雰囲気を漂わせる女性だった。 その姿通り今もプレシアとの通信をしている最中も女性の両手は作業を止める事はなかった。 『はい、約八割方調整完了しました。おそらく後6時間ほどで完全に調整は完了する予定です』 「分かったわ。引き続きガレアの冥王とその配下の屍兵器の調整は任せたわ、ウーノ」 『はい、了解しました』 そう戦闘機人ナンバーズの最古参が返答するのを確認してからプレシアは通信を切った。 もしもの時のために用意させたガレアの冥王イクスヴェリアと屍兵器マリアージュ。 両者に関しては一応大部分をあちらに任せているが、念のため根幹の部分のプログラムは既にこちらで設定してある。 万が一に備えて屍兵器が刃向かう心配はなくしておきたいからだ。 さらにこちらの戦力はまだ他にもある。 時の庭園で使用した傀儡兵、元々ルーテシアの使役していた召喚虫、そして――。 「――まあ、あの子を投入する事は来ないでしょうね」 プレシアは空間モニターに映る二人の参加者を見ながらデスゲームの進行を見守っていた。 一人はこちらから唯一コンタクトが取れる王の位を持つ不死のアンデッド、キング。 もう一人は唯一こちら側の人員であるリニスと接触した不死王と謳われた吸血鬼、アーカード。 純粋な力なら最強クラスである二人の肩書きはどこか似ていて――。 『なんだよ、もう終わりかよ』 『結局、闘争は取り上げられたか』 ――ゴルトフェニックスの群れによって元の会場に戻された反応もどこか似ていた。 『さて、次は何をして楽しもうかな』 『さあ、次は誰が私を殺しに来る』 そしてどこか求めるものも似ていた。 【1日目 夕方】 【現在地 D-5 橋付近】 【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】健康、わくわく感、ゴジラへの若干の興味 【装備】ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔法と魔法少女たち、キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式、おにぎり×10、ハンドグレネード×4@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ギルモンとアグモンとC.C.のデイパック(道具①②③) 【道具①】支給品一式、RPG-7+各種弾頭(榴弾5/照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、トランシーバー×2@オリジナル 【道具②】支給品一式、菓子セット@L change the world after story 【道具③】支給品一式、スティンガー×5@魔法少女リリカルなのはStrikerS、デュエルディスク@リリカル遊戯王GX、治療の神 ディアン・ケト(ディスクにセットした状態)@リリカル遊戯王GX 【思考】 基本:この戦いを全て無茶苦茶にする。 1.浅倉と手を組んでこの戦いを更に引っ掻き回す。 2.浅倉と天道の戦いを見られるようにする。 3.『魔人ゼロ』を演じてみる(飽きたらやめる)。 4.はやての挑戦に乗ってやる。 5.浅倉とキャロに期待。 6.シャーリーに会ったらゼロがルルーシュだと教える。 7.ヴィヴィオをネタになのはと遊ぶ。 【備考】 ※キングの携帯電話には以下の画像が記録されています。 相川始がカリスに変身する瞬間の動画。 八神はやて(StS)がギルモンを刺殺する瞬間の画像。 高町なのはと天道総司の偽装死体の画像。 C.C.とシェルビー・M・ペンウッドが死ぬ瞬間の画像。 ※全参加者の性格と大まかな戦闘スタイルを把握しています。特に天道総司を念入りに調べています。 ※ゼロの正体がルルーシュだと知っています。 ※八神はやて(StS)はゲームの相手プレイヤーだと考えています。 ※PT事件のあらましを知りました(フェイトの出自は伏せられたので知りません)。 【現在地 E-5 地上本部10階】 【アーカード@NANOSING】 【状態】疲労(小)、ダメージ(小)、「命」小程度回復 【装備】正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使 【道具】支給品一式、拡声器@現実、首輪(アグモン)、ヘルメスドライブの説明書 【思考】 基本:インテグラの命令(オーダー)に従い、プレシアを打倒する。 1.再度プレシアの下僕を誘き寄せるために、工場に向かい首輪を解除する。 2.積極的に殺し合いに乗っている暇はないが、向かってくる敵には容赦しない 3.首輪解除の技能者を探してみる? 4.アンデルセンを殺した参加者を殺す。 【備考】 ※スバルやヴィータが自分の知る者とは別人だと気付いています。 ※第一回放送を聞き逃しました。 ※デスゲーム運行にはプレシア以外の協力者ないし部下がいると考えています。 ※首輪解除時の主催の対応は「刺客による排除」だと考えています。 【現在地 ???】 【プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】 【状態】健康、ルーテシアの召喚虫の使役主 【装備】? 【道具】? 【思考】 基本:デスゲームを遂行させる。 1.デスゲームの進行を妨げる事態が起きたら時と場合に応じて対処していく。 【備考】 ※デスゲームの進行を著しく妨げる事態(首輪の解除etc)が起きた場合、躊躇いなく首輪を爆破する気でいます。 【全体備考】 ※ミラーワールド(【F-6 レストラン前】付近)に以下のものが落ちています。 浅倉威の死体(首なし)、柊つかさの死体(パピヨンマスク、シーナのバリアジャケットを装備)。 浅倉威のデイパック【支給品一式、ヴィンデルシャフト@魔法少女リリカルなのはStrikerS、肉×10kg、魚×10kg、包丁×3、フライパン×2、食事用ナイフ×12、フォーク×12】 万丈目準のデイバック【支給品一式、考察などを書いたノート】 柊つかさのデイパック【支給品一式、電話帳@オリジナル、デパートで回収したもの、十代のデイパック(支給品一式、バヨネット@NANOSING、んまい棒×4@なの魂、ヴァイスのバイク@魔法少女リリカルなのはStrikerS、リビングデッドの呼び声@リリカル遊戯王GX、木製バット、エアガン、パン×2、キャベツ半玉、十代のメモ)】 柊かがみのデイバック(中身ごと真っ二つに破壊されました)【支給品一式、Ex-st(残弾なし)@なのは×終わクロ、柊かがみの制服(ボロボロ)、スーパーの制服、ナンバーズスーツ(クアットロ)】 S2U@リリカルTRIGUNA s、装甲車(鍵付き)及び多種多様な火器(全て人間が所持して使用するタイプ)。 ※【C-4 ゴミ処理場内の事務室】にストームレイダー(破壊/修復は不可能)が放置されています。 ※【F-7】に相川始のデイバック(中身なし/ベルト破損)が放置されています。 ※プレシアの特殊魔法によりミラーワールドへ入る事が不可能になりました。 ※以下のものがプレシアの脇のテーブルに置かれています。 カードデッキ(王蛇)@仮面ライダーリリカル龍騎、サバイブ“烈火”(王蛇のデッキに収納)@仮面ライダーリリカル龍騎、カードデッキ(ベルデ・ブランク体)@仮面ライダーリリカル龍騎、カードデッキの複製(タイガ)@仮面ライダーリリカル龍騎 Back D.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わる 時系列順で読む Next Kな魔王/ダークナイト 投下順で読む Next Kな魔王/ダークナイト 浅倉威 GAME OVER 柊かがみ Next 波紋 - a divine messenger of the two. 相川始 Next 余波 キング Next Kな魔王/ダークナイト 金居 Next Round ZERO ~KING SILENT ヴィータ Next Round ZERO ~KING SILENT キース・レッド Next E-5涙目ってレベルじゃねーぞ!! ~自重してはいけない・なのロワE-5激戦区~(前編) アレックス Next E-5涙目ってレベルじゃねーぞ!! ~自重してはいけない・なのロワE-5激戦区~(前編) L GAME OVER ヴィヴィオ Next 破滅へのR/血染め の ヴィヴィオ 天道総司 Next Aの残光/強襲ソルジャー 高町なのは(StS) Next Aの残光/強襲ソルジャー 新庄・運切 GAME OVER エネル Next Round ZERO ~GOD FURIOUS アーカード Next Round ZERO ~KING SILENT プレシア・テスタロッサ Next 第三回放送 リニス Next 第三回放送
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長野県某所―――。 空の色は、見渡す限りの黒。正確には少し白み始めた紺色と言ったところだろうか。 太陽の昇り切っていない朝の空は暗く、それが山奥ともなれば人の顔もはっきりとは判別できない程。 まだ人々も目覚める前のこんな時間に、山奥を歩く一人の女性が居た。 シンプルな造りの服に身を包んだ、ベージュ色の髪の女。 服の造りを見るに、明らかにこの世界――つまり97世界の服装とは思えない。 それもその筈。見た目の通り、彼女はこの世界の人間ではないのだから。 彼女は、プレシア・テスタロッサが再び契約した使い魔――名はリニス。 以前プレシアが契約していたリニスと、全くと言っていい程に外見の相違はない。 同じ種類の山猫を素体に、リニスの記憶を植え付け、再びリニスを造ったのだ。 そんなリニスが何故このような場所にいるのか。それは簡単、探し物を見つけるためだ。 暫く山中を歩き続けたリニスは、とある木の根元に、金色に輝く何かを発見した。 「……見つけました」 一言呟くと、リニスはすぐにそこへ駆け寄り、“それ”を拾った。 一通り眺める。それは僅かなエネルギーの反応を頼りに探し続けた目的の物に違いない。 リニスが握り締めたのは、どこか顔にも似たような彫刻が刻まれた金色のかけら。 かけらの大きさは、ほんの5センチにも満たないほどの小さなものだ。 しかし、そんな小さなサイズでありながら、それはかつてプレシアがフェイトに集めさせていた ロストロギア・ジュエルシードに及ぶほどのエネルギーを内包した物質。 全てのかけらを集めることで、プレシアの野望は大きな一歩を踏み出す事となるらしい。 リニスは何処か重たい表情を浮かべながら、そのかけらをぎゅっと握り締め―― やがて光と共に現れた魔法陣の中へと、消えていった。 ◆ 海鳴市、八神家―――07 27 p.m. 「よし、出来たー!」 大きな声を上げて、雄介が大きく背を伸ばした。 雄介の目の前。テーブルに置かれたミシンに乗っているのは、一枚のシャツ。 それはほんの数日前に、八神家の資金で買ってもらった真白のシャツ―――ではなく。 真白でありながら、胸元に小さな刺しゅうが入ったシャツであった。 「いきなり大きな声出しやがって……出来たって、何がだよ?」 「ヴィータちゃん、ほらほら! これ見てよ!」 「ん……?」 雄介の声を聞きつけて、真っ先に雄介の前にやってきたのはヴィータである。 怪訝な表情を浮かべながら尋ねるヴィータに、雄介は嬉しそうな笑顔を浮かべ、ミシンからそっとシャツを引き抜いた。 それが何だよと呟くヴィータに、雄介はシャツの胸元を指さした。 「ほら、これこれ。クウガのマーク」 「クウガ? 何だよ、それ」 「え? まぁ~……俺のトレードマークって感じかな?」 「ふーん」 クウガという言葉に聞き覚えのないヴィータは、特に何も考えずにシャツを眺めていた。 ヴィータの視線の先に顕在するマークは、雄介お馴染みの“クウガのマーク”。 クウガのマークなどといっても、解ってくれる人は元々極端に少なかった為に、ヴィータの反応もまぁ想定の範囲内だ。 もしも“未確認生命体第4号のマーク”と言えばヴィータも解ってくれたかも知れないが。 今のところは雄介自身がクウガとして戦った事を知っているのは、ゴウラムを目撃したアースラのスタッフのみ。 ヴォルケンリッター一同が知っているのは、雄介が元居た世界で発生した“未確認事件”の終結に関する話だけだ。 つまり、未確認生命体第4号の存在は知っていても、それがクウガという名前であることも、雄介がクウガであることも知りはしない。 雄介とてヴォルケンの皆さんに隠すつもりはないが、別に自分がヒーローみたいに戦ったなどと話すつもりもないだけである。 事実一年間に及んだクウガの戦いは熾烈を極めたものであり、面白おかしく誰かに話せる内容ではないのだから。 「雄介君~……喜ぶのはええけど、もうすぐ晩御飯の準備するからそれ片づけてな」 「おぉー! オッケーオッケー、今日の晩御飯は何かなー」 「もうちょっとで出来るから待っときー」 キッチンから聞こえるはやての声。 雄介は今日の夕飯に期待を込めた笑みを浮かべながら、ミシンを持ちあげ、リビングを後にした。 これを片付ければはやての美味しい料理が食べられる。そう考えるだけで嬉しくなってくる。 雄介は、早く片付けてしまおうと、小走り気味にミシンを運んで行った。 それからややあって、納戸部屋代わりに使われていた部屋に赴いた雄介は、元あった場所にミシンを戻した。 これでよし、と。雄介が頷き、リビングに戻ろうとした、その時であった。 ―――ドクン 雄介の足が止まる。 次に漏れたのは、声にならない呻き声。 それはほんの一瞬の出来事。しかし、腹部に感じた熱と痛みは確かに何処かで感じたことのある感覚だ。 腹部を抑えながら、片手を壁に立てて体重を預ける。 見れば、腹部に内蔵されたアークルの、その中心部。 モーフィンクリスタルと呼ばれる部分がオレンジ色に、しかし力無く薄い輝きを放っていた。 それは今にも消えてしまいそうなか弱い光。服の上からでは確認できない程の僅かな輝きだが、雄介には確認出来た。 しかし、それもほんの僅かの間のみ。光は、痛みの余韻が消えさると同時にゆっくりと消えていった。 雄介はこの感覚を、以前にも何処かで味わったことがある。 そうだ。これは―― (……初めてベルトを付けた時と同じ感覚だ……) それは雄介が、クウガとしての初陣の時、初めて感じた感覚。 初めての未確認生命体。第1号――ズ・グムン・バとの戦い。 その中で初めて古代クウガの変身ベルト――アークルを身に付けた時も、腹部にこんな痛みが走った。 何かが脈打つような―――強くて、熱い感覚。 雄介は以前にも感じたことがある。 (もしかして……ベルトのヒビが治って行ってる……?) その原因に、雄介には心当たりがある。 クウガは一度、0号との初めての戦いで完膚無きまでに叩きのめされた。 それまでの未確認の中で、間違いなく最強と言える存在――未確認生命体第46号を破った “黒の金のクウガ”の力を持ってしても、0号にはまるで歯が立たなかったのだ。 その際に一度、クウガのアークルは崩壊寸前にまで破壊された。 しかし、それでも雄介は究極の姿へと超変身を遂げ、0号との決着を付けに挑んだのだ。 勿論、二度目の戦いは無事で済む筈もなく、クウガのアークルは“完全に”破壊された。 それ以来クウガに変身することが不可能になったのはこの世界に来てから確かめた事だが、 仮にこれがアマダムがクウガの能力の回復の為に一時的に変身能力をリセットしたものだとしたなら―― もしかしたら、初めてベルトを装着した時と同じように、もう一度ゼロの状態から回復を始めたのかも知れない。 少し考えて、そんな考えに至った。 それはつまり、遠くない未来……雄介にクウガとしての力が戻るかもしれないということである。 しかし。 (俺にはもう、クウガの力は必要ない……) 雄介がそう思うのも当然のことだ。 平和なこの世界で、雄介が再びクウガの力を使う事は無いだろうし、勿論使うつもりもない。 と、言うよりも正直な所クウガの力は二度と使いたくないというのが雄介の本音なのだ。 クウガの力を使わなければならないという事は即ち、再び未確認が現れたという事。 当然の事、二度とそんな事態にはなって欲しくはない。 もう二度と、クウガの力を使わなくて済む世界――― そんな当たり前な世界を、雄介はあれだけ必死になって取り戻したのだから。 「どうした? 雄介」 「お、ザフィーラ……ううん、何でもないよ!」 「そうか……もう食事の時間だ。早くリビングに来い」 「あぁ、うん。すぐ行くよ」 一瞬の苦しさに壁にもたれていると、気付けば廊下からザフィーラが覗いていた。 ザフィーラは少しだけ怪訝そうに眺めていたが、雄介は心配させまいと笑顔を浮かべた。 変に心配させなくて済むように。それが、雄介の優しさだから。 EPISODE.07 暗雲 海鳴市、バニングス邸―――09 30 a.m. アリサと雄介が出会ってから数日後の休日。 お茶会にと誘われ、雄介ははやてと一緒にアリサの家に訪れていた。 勿論今日ははやても一緒にいる為に、ビートチェイサーは使用していない。 普通に街のバスに乗って、ここまでやって来たのだ。 バスの中でなのはとフェイトと合流し、次に乗り込んで来たすずかとも合流。 こうして揃ったメンバーは、屋敷のテラスに設けられたお茶会専用スペースに一同揃ってやってきていた。 ただし、その中で一人。やけに落ち着かない人物が。 「どうしたん? さっきからキョロキョロ家見回して……いや、言いたい事は解るけど」 「え? いや、まぁ……大きいなって思って」 「そう? すずかの家もこれくらい大きいわよ」 「へぇー……」 雄介だけはただ一人、落ち着きなくきょろきょろと家を見渡していた。 そもそも雄介の常識で考えれば、こんな巨大な家はドラマか漫画の中だけの筈だったのだ。 どう考えたって雄介の知る普通の日本の住宅に―一部を除いて―こんな馬鹿でかい家は無く、 もう流石異世界と思わざるを得ない状況であった。それがこんな身近に二人もとなると、尚更だ。 「もしかして、五代さんの世界じゃ家ってこんな感じじゃないの?」 「え……いやいや、そんなことはないよ。ただもっと小さかったってだけで……」 「そんなこの家のサイズが当然みたいに質問するのも間違いやと思うけどな」 取りあえずこの世界でもこんな家がそう簡単にそこら辺にある訳ではない。 軽くフォローを入れるはやてに苦笑いをしながら、雄介は次の言葉をつなげた。 「って、もう皆俺が違う世界の人間だって知ってるの?」 「そりゃあ、今はもう有名人だからね。私たちの間じゃ」 「そういえばそんなこと言ってたね……」 「まぁまぁ、今日は五代さんの歓迎会って意味合いもあるんだし、ゆっくりしていきなよ」 そうなのはに言われた雄介は、嬉しそうに微笑んだ。 ◆ さて、ここまでしばらく様々な雑談を続けた中で、不機嫌そうな表情を浮かべる少女が一人。 なのはとフェイトのラブラブカプルはまぁいいとして、そこにはやても加わって魔法談議に花が咲く。 そこにいつでもにこにこと話を聞くすずかに雄介。最後に残るのは話に入れないアリサのみ。 なのは達が語る、雄介との出会い話から、雄介の世界の話などを経て、段々と話は脱線していったのだ。 異世界や魔法などが絡んだ内容が話の主軸に持ってこられると、自然と三人の間に入りづらくなっていくのは明白。 そうなってくると、例え自分が振った話だとしても「しくじった!」としか思えなくなって来るのだ。 「あれ……アリサちゃん、さっきから一言も喋らないけど、大丈夫?」 「別に、大丈夫だけど」 「そっか……ならいいんだけど」 雄介はいつも通りの笑顔で、アリサに訪ねてくる。 出来るだけ普段通りの表情をしようと心がけてはいるのだが、 やはり感情を表に出しやすいアリサは少し不機嫌そうな返事を返してしまう。 雄介は雄介で、心配そうな表情をしながら、アリサを眺めるのみ。 それはすずかも同様で、苦笑いを浮かべながら自分に視線を送っている。 きっと二人とも、気付いているのだろう。アリサが不機嫌であることに。 なのは達もアリサを見れば気付くはずだが、話が盛り上がり過ぎている今、しばらくそれに気づく気配はない。 アリサは一人ため息を落とすと、ゆっくりと立ち上がった。 「あれ? どうしたの、アリサちゃん?」 「ちょっとトイレ」 それだけ言うと、アリサは黙々と一同の輪の中から出て行った。 さて、トイレと言って席を立った訳であるが、これは嘘である。 実際にはただ何となく、あの場に居辛かったというのが真相である。 だから少しだけ、気分転換とばかりに外の空気を吸いに、アリサは庭へと足を運んだのだ。 バニングス低の屋敷の大きさに比例して、庭もまた巨大な敷地内に出来た公園のような作りになっている。 そんな広大な敷地内をただぶらぶらと歩いていると、やがて一匹の子犬がアリサの足もとに寄り添ってきた。 この屋敷は別名、犬屋敷と呼ばれるほどだ。当然庭にも沢山の犬が放たれており、アリサに寄って来たのはそのうちの一匹。 犬好きのアリサはゆっくりとしゃがむと、子犬の頭を優しく撫で始めた。 しかし子犬は一度アリサと視線を合わせると、すぐにアリサから離れ、何処かへと走って行く。 どうやらただ走って行った訳では無さそうだ。 それは何処か、アリサに着いて来いと言っているかのように感じられた。 「あっちで何か見つけたのかな……?」 言いながらも、小走りで子犬の後を追いかける。 やがて子犬は少し先まで走ったところでストップ。 そこに落ちていた、小さな“かけら”を、鼻でつつき始めたのだ。 これを見付けたということを、アリサに伝えたかったのだろう。 アリサは小さく微笑み子犬をよしよしと撫でると、そのかけらを手に取った。 「これ……何かしら。結構綺麗だけど……」 黄金色に輝く何かのかけらを、太陽にかざして見る。 眩しい太陽光に照らされた欠片は、キラキラと金色の輝きを反射する。 何処か神秘的な雰囲気を秘めたそれを、アリサは見とれるように眺めていた。 そうしていると、ふと近くに誰かの気配を感じた。 「あれ……すずか?」 「やっぱりここに居たんだ、アリサちゃん」 にこにこと微笑みを向けて来るのは、親友の一人――すずかだ。 「ま、まぁね……って、すずかが何でこんな所にいるの?」 「アリサちゃんならここにいるかなって思って……アリサちゃんが戻ってこないから、皆心配してたよ?」 「あ……そっか、そろそろ戻らないとね」 それだけ言うと、アリサは手に握ってかけらをポケットにしまい込み、苦笑いで返した。 流石にトイレにしては長すぎたか、と自嘲しながら。アリサはすずかの横を通り過ぎる。 すると、ふとすずかが口を開いた。 「ねぇ、アリサちゃん」 「え? なによ、すずか」 「私にも、わかるよ……何となく気まずいのは……」 「え……何よ、いきなり……」 「……でも、私たちは友達でしょう? そりゃあ、確かに話にはついていけない事もあるけど――」 「友達だからこそ、キツいんでしょ……それじゃあ、私戻るから」 「ちょ、ちょっと待って……アリサちゃん!」 すずかの話にも聞く耳持たず、アリサは黙って歩きだした。 背後からすずかの呼ぶ声が聞こえるが、聞こえないふりをして歩き続ける。 きっとすずかはもっと大切なことを言おうとしたのだろう。そんな事はわかっている。 だけど、やはりアリサは変に意地を張って―――こうなってしまった。 しかし、友達だからこそ、その中で距離が出来てしまう事を恐れるのは、本当のこと。 いつだって自分がこうやって意地を張って、話がこじれてしまう。 最初に――なのは達と仲良くなる前に、三人が喧嘩をしてしまった事がある。 その時だって、自分が悪いと解っていながら意地を張って、結局引きさがる事は無かった。 最終的に親まで出てきて、何とか解決。今は掛け替えのない親友となっているのだが。 今となっては忘れられない思い出を思い浮かべながら、アリサは黙々と歩き続けていた。 ◆ 広間と言えるような大きな空間。 一般人が見れば薄気味悪いとすら感じるであろうこの空間に、二人の女は居た。 プレシア・テスタロッサと、その使い魔のリニスだ。 「よくやったわリニス。これでベルトの修復率は約50%……もうすぐね」 「プレシア……この行動は、アリシアと何か関係があるのですか?」 「それは貴女には関係のないことよ」 怪訝そうな表情で尋ねるリニスに、プレシアは冷たく言い放った。 言い返せないリニスは、そのまま俯いて黙り込む。 何故プレシアが過去のリニスの記憶をこのリニスに受け継がせたのか。 それはプレシアにしかわからない。だが、リニスはアリシアとフェイトの関係を知ってしまっている。 プレシア曰く、片方は眠ったままの本物で、片方はアリシアの代わりの人形、と。 自分の子供のようにフェイトを育ててきたリニスにとっては、どこか複雑な感情を抱かずには居られない筈だ。 しかし、それでもプレシアはリニスの記憶を受け継がせた。それはプレシアに未だ残る人間らしさなのかもしれない。 「リニス……貴女の役目は、あの世界に散らばったベルトの欠片の回収。 それと奴らのゲゲルを成功させること。それ以外は何も考えなくていいのよ」 「……わかりました」 「全て、アリシアの為に繋がるんだから……ねぇ」 薄く微笑んだプレシアは、リニスが回収してきた新たな欠片を、他の欠片と合わせた。 半分以上元の姿にまで修復されていると思われるそれは、顔にも似た形をした、金の装飾品。 そこまで回収した時点でのエネルギー量は、ジュエルシード単体なんかとは比べ物にならないほど。 それ程までに恐ろしいエネルギーを秘めた“ベルト”を身に付けていた者もまた、規格外の化け物なのだ。 プレシアはそれから目線を反らし、広間の中央へと歩み出た。 「そう……その為には、これの完成と同時に、ゲゲルも進めなくてはならない―――そろそろね」 プレシアが言うと同時に、現れたのは一人の男。 頭には赤いバンダナ。髪の毛は肩まで伸びた、人相の悪い皮ジャンの男。 男は測った通りの時間に来たとばかりに、プレシアの前で足を止めた。 「何の用だ」 「時は熟したわ―――これよりゲゲルを開始する。いいわね?」 「ほう……最初は、俺か」 「ええ、前のゲゲルとは順番が違うかもしれないけど。不満かしら?」 「いや……問題はない」 屈強な男の表情からは、その意思の固さが窺い知れる。 まるでこれから行うゲゲルに、大きな誇りと自信を持っているとばかりの顔つきだ。 それを見たプレシアは、満足そうに男の眼前まで歩を進めた。 プレシアが眼前まで来たところで、男の身体は変化を始めた。 ほんの一瞬の出来事。男の身体は人知を超えた化け物へと変わっていた。 濃い緑の皮膚に覆われた異形の姿は、黙って見ていたリニスすらも一歩引いてしまう程の威圧感を放っている。 しかし、そんな姿にもプレシアは恐れを感じない。 それどころか、プレシアは異形に平然と接近し――― 手にした指輪を、異形のベルトに押し当てた。 「貴方のゲゲルは―――4日で1000人。出来るわね?」 「……ドグデンザ」 それだけ言うと、異形の怪人は元の男へと姿を変えた。 踵を返し、元来た道を戻っていく。 数歩歩いたところで、男は立ち止り―――こう言った。 「キュグ・キョブン・ジャリゾロ・ ダサグンパ・ボン―――ゴ・バベル・ダ・ザ!」 戻る 目次へ 次へ
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【名前】 【種族】 【性別】 【出展】 【解説】